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かつては事業部長になる夢をいだいていたビースティ・ボーイズは、そんなことはありえないのかもしれないと気づいた。

A氏はだんだんと自分の仕事に幻滅し、うまくいかない結婚生活に気をとられるようになっていた。 R氏は、やはり夫婦関係で悩んでいたし、E氏ともども、ダイレクトXを奪い取られたことにいらだっていた。
さっさと退社することもできたが、M社を辞めて1年あたり150万ドルのストックオプションを失うのは、自分の腕をかみ切って自由の身になるようなものだった。 それに、いちど味わった権力を、もっともっと手に入れたかった。
A氏によれば、3人のうちのひとりだけがM社の上層部をめざして地道に前進しようという話になり、それはE氏の役割と決まった。 だが、R氏が、ほかのふたりにあと押ししてもらうべきなのは自分だと主張した。
「E氏には事業部長になるために必要な資質がある」A氏はいった。 A氏は、R氏はしぶしぶながら同意したと語っている。
R氏とE氏は、そんなことはなかったといっている。 いずれにせよ、3人は、上司や同僚ともうすこし仲良くやるほうがいいという点では合意した。
E氏は経営コースをとりはじめた。 他人をけなす癖をなおすために、ビースティ・ボーイズは、ほかの人に対して悪い口のききかたをしたときは、おたがいに5ドルの罰金を払うという取り決めをした。
議論は、いかにして会社と世界にとって革新的で印象的で重要なテクノロジーをつくりあげ、正当な報酬を受けとるか、という方向に変わっていった。 しかし、彼らが求めるような名声を得るためには、新たなAPIを開発するだけでは足りなかった。
それは必要なものではあっても、あまり華々しくないソフトウェアの配管みたいなものにすぎなかった。 ダイレクトXによって、3人は自分たちがとても有能な配管工だということを証明した。
これからは、なにか独立した製品を、たとえウィンドウズと完全に離れなくても、せめてその相棒くらいの位置づけになるテクノロジーをつくりあげる必要があった。 ビニールに包まれた製品のおもてに、ビースティ・ボーイズが開発したとはっきり宣伝できるようなソフトウェアだ。
M社では、革新的なソフトウェアを開発するプログラマーはごくわずかしかいない。 ほとんどは、ウィンドウズやオフィスを担当する部署で、いわゆるボルト締めの作業にたずさわり、既存の製品に新しい機能を追加しているだけだ。
だが、まったく新しいものを開発し、独立した製品を生みだすというのは、E氏がいうように、「エンジニアの夢」だった。 そこで、ビースティ・ボーイズは、サイバースペースに目を向けることにした。



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